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165話

田小野は、ようやく針のむしろに座っているような気分を味わった。

遅刻の件はもう終わったと思っていたのに、彼女が席に着いた瞬間から、相手はさらに三十分も説教を続けた。

彼女の顔には何の表情も浮かばなかった。

ただ、相手が自分に不満なら、さっさと帰ってくれればいいのにと思うばかり。

しかし相手は帰らず、やがて本を取り出して、読んだことがあるかと尋ねてきた。

彼女は作り笑いを浮かべて「ありません」と答えた。

すると相手は急に元気を取り戻し、教師である彼女はもっと本を読むべきだ、時代に取り残されてはいけない、読書量を増やせば生徒に質問されても困らずに済むと熱弁を振るい始めた。

田小野は相手の口がパクパ...