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154話

「彼はかっこいい」

雲想は少し恥ずかしそうに墨星沢を指さし、そっと口元を引き締めて笑った。

墨星沢は一瞬固まった。彼は彼女が両方を敵に回さないよう、二人とも格好いいと言うか、あるいは話題をそらして質問に答えないだろうと予想していた。

だが彼女がこんなにも率直に彼を指さして「彼がかっこいい」と言うとは思わなかった。

予想外の喜びに、彼はまるで馬鹿みたいに笑ってしまった。いつもの冷たい眉目が、まるで三月の春の光のように、あたたかさに満ちあふれていた。

鐘政鳴は下品に白目をむき、まるで公衆の面前でドッグフードを詰め込まれたかのような表情を浮かべた。

「雲さん、良心の呵責を感じませんか?」...