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5話

「彼に話したらいかがでしょう……街の人々を救うためにも……」画霊は溜息をつきながら諭した。

赤髪の男は血の涙を流す両目を閉じたまま、黙って首を振り続けた。

「殴れ!思いっきり殴れ!話すまで殴り続けろ!さもなくばその紫檀の箱を踏み潰し、絵巻も焼き尽くしてやる!お前たちの魂も魄もすべて消し飛ばしてやるぞ!」喬舫は死を極度に恐れ、赤髪の男が硬軟どちらの手にも乗らないのを見て、ついに狂ったように叫び始めた。その姿はまるで悪鬼のようだった。

画霊は顔に嫌悪感を浮かべながらも、この男に箱と絵巻を破壊されるのを望まず、赤髪の男に歩み寄り、掌に力を集中させた。

喬舫は激しい怒りの中、周囲の黒い霧が消えていくのに突然気づいた。まるですべての霧があの黒髪の男の掌に集められているかのようだった。彼はこの男が必殺の技を持っていると悟り、きっと赤髪の男に口を開かせられるだろうと確信して、歪んだ笑みを浮かべた。

黒気が渦巻く手が赤髪の男の左胸に触れた瞬間、「シュッ」という音が響き、まるで焼けた烙印が肉に押し付けられたかのようだった。喬舫は焦げた腐敗の臭いさえ嗅ぎ取った。

黒気はすべて赤髪の男の体内に吸い込まれ、彼は凄まじい悲鳴を上げ、口から鮮血が矢のように噴き出した。血の霧は空中に漂い、次第に濃くなり、夢の世界全体が赤く染まっていった。

赤い霧の中、喬舫は突然、黒髪の男の顔から凶暴さが消え去り、端正で凛々しい顔立ちが現れるのを目にした。その男は「白沢」と何度も呼びながら、崩れ落ちる赤髪の男を抱きしめ、大粒の涙を流して赤い霧の中に溶け込ませた。

「白沢……白沢……なぜわしのためにここまで……」度化が完了し、画霊は思い出した。この赤髪の男は猰貐ではなく瑞獣の白沢であり、自分こそが猰貐だったのだ。彼は烛龍の子であり、白沢とは幼い頃から親しく、成人してからは互いに惹かれ合い、九州の美しい景色を巡り、人間世界の繁栄を見ることを約束していた。だが彼は陥れられ、惨殺され、その後黄帝の憐れみで蘇ったものの、神志は混乱し、もはや敵味方の区別がつかなくなっていた。

「わしがお前をここに閉じ込めなければ……后羿がまたお前を射殺すことになる……」白沢は煙のように薄くなった体を猰貐の腕の中で預け、血に染まった唇の端に安堵の笑みを浮かべた。

白沢はもともと黄帝の側に仕える霊獣だった。猰貐が死んだ後、彼こそが黄帝に猰貐の復活を嘆願した者だった。しかし悲しいことに、蘇った猰貐は彼を認識できず、血に飢えた狂暴な獣と化し、人を食らい、災いをもたらした。

堯帝は人間界の平和を守るため、后羿に猰貐の射殺を命じた。白沢は瑞獣でありすべての物の精を知る力を持っていたが、邪気を祓い吉兆を予言するだけで、戦う力はほとんどなかった。猰貐を従わせることも后羿を止めることもできず、ただ喬氏の巫師一族に助けを求めるしかなかった。だが喬氏一族は法術を知る凡人に過ぎず、上古の神仙の力は持ち合わせていなかった。白沢は契約を結んで自ら進んで絵の中に封じられ、喬氏が彼の元神の力を借りて猰貐を封じる術を施すことにした。

上古の霊獣は誓約を極めて重んじ、一度契りを交わせば決して反故にしない。彼は「死なずとも休まず」という誓いを立て、このまま猰貐と共に絵の中の混沌で眠り続けようとした。たとえ猰貐を救うことができなくても、永遠に共にいることで、人間界の平和も守れると考えたのだ。しかし、その絵巻の封印は喬舫によって何度も破られかけ、すべての計画が水泡に帰すところだった。幸いなことに、彼の元神の流出は度化の術の進行を早め、猰貐を、誓約を、そして人間界を守ることはできたが、度化された猰貐と長く共にいることはもはやできなくなった。

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