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234話

車の中で、丁逸は後方に遠ざかる砂漠の大戈壁を見つめながら、胸の重荷が降りたかのように体の力を抜いた。瀛洲で霊薬を採取するために遭遇した様々な危険を思い返し、思わずため息をついた。

「やっと出てこられたな。次に来るときは、ちゃんと楽しませてもらおう」

そう言うと、後部座席に座る趙瑩と徐静蓉の方を振り返った。

「まずは蛇皮幇に行って、いくつか片付けることがある」

徐静蓉は「蛇皮幇」という三文字を聞いた途端、体が小さく震えた。彼女の心の中で、蛇皮幇は消えることのない暗い影だったのだ。

徐静蓉の過去について、趙瑩はほぼ全て理解していた。だから先ほど彼女の体が震えた理由も分かっていた。彼女は優...