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101話

夜色は凄まじく暗く、寂しさを漂わせていた。

いつの間にか空から細い雨糸が舞い始めていた。

夏莉は彼の背後に護られ、丁逸は頭を上げ、遠くない場所に立つ牙魔と向き合った。「彼女を行かせろ。俺がお前と戦う」

「構わないさ。元々、他人の生死など気にしちゃいない。欲しいのは、お前の首だけだ」

口元を少し歪めながら、牙魔は言った。「所詮、他人の頭なんて価値がないからな」

「丁逸……」

夏莉はそれを聞いて急に心配になり、何か言おうとしたが、丁逸に制止された。「早く行け」

そう言いながら、夏莉に目配せした。まだ何か言おうとしていた夏莉は一瞬固まり、それか...