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89話
「古より恩情は山よりも重し、この命報いなければ心に詫びん。滴水の恩は湧泉をもって報いよ、何時か消えし恩徳の簪よ」
之晏はその場に呆然と立ち尽くし、呼吸が一気に重くなった。まるで誰かに喉を掴まれたかのようだ。軽く息を吐こうとしても、胸の内が炎に焼かれるような感覚に襲われる。
蕭晔は背を向けると、机の上に置かれた季節の和菓子を手に取り、振り返って之晏を見た。
「見てごらん、屋敷の庭の寒梅が雪と霜に耐えて枝先に咲いているだろう。春もそう遠くないはずだ。特別に摘んできて和菓子にしてみたんだが、美味いかどうか試してみてくれないか?」
之晏が反応する間もなく、その和菓子を彼の手の中に押し込んだ。之晏...