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74話

「何を恐れることがある。兄は弟の性格を知っている。お前が賭場を好む人間ではないことはわかっている。之晏があんな場所に行くとは、兄にとっても予想外のことだったよ」

萧晔は視線を泳がせ、やがて狗蛋儿に目を向けた。袖から小さな銀の塊を数個取り出して狗蛋儿に渡すと、こう言いつけた。「先に飴細工を買って帰っておくれ。私はお前の花亦兄さんと少し街を歩きたいのだ」

狗蛋儿は銀を手にすると目を輝かせ、にこにこしながら立ち去ろうとした。之晏とすれ違う際、彼の眉間に寄った深いしわが、何か不吉な予感を之晏に伝えていた。

之晏の心が震えた。兄は自分に明かしていない何かがあるのだろうか?

「紙と硯を買いに行こう...