若様 、王様は男娼です

58話

之晏は足を止め、その場に立ち尽くした。記憶の中からどうしてもこの人の姿を思い出せない。だが、その明るく、萧晔と同じ、まるで魔力を宿したような瞳に、之晏は何故か懐かしさと温かさを感じていた。

この人は、本当に萧府の元の王爷、自分の父親、あの戦功赫々、戦神と呼ばれた将軍なのだろうか？しかし今はこのような姿になってしまった。かつては、あの書物に書かれていたように。

凛々しい体躯、堂々たる容姿。寒星を射るような鋭い眼光、墨を染めたような濃い眉。広い胸板には万人も敵わぬ威風がある。

高らかな言葉には、千丈の雲を凌ぐ志気が宿る。雄々しく大胆な心は、天を揺るがす獅子が雲から降りてくるよう。強健な骨と筋...