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50話

蕭燁は彼を振り返って見つめ、不機嫌さと鋭さ、そして諦めが入り混じった口調で言った。

「之晏よ、兄が何を言っているのか分からないのか?」

之晏は彼の迫り来る勢いに怯え、数歩後ずさりしながらどもった。「之晏には分かりません」

蕭燁は袖を払って身を翻し、二歩前に進んだが、不適切だと感じて再び二歩下がり、之晏の手を取った。

「当年鉄馬游沙漠、万里帰来会二龍。周氏君臣空守信、漢家兄弟不相容。只知奉璽伝三譲、豈料游魂隔九重。天上武皇亦洒涙、世間骨肉可相逢?」

蕭燁の言葉は一言一言が心に突き刺さり、今日は昔のように歌い方や水袖を長く投げるような所作はなかった。

それでも之晏の心は震え、胸の内に様々な感情が広...