危険な喜び

29話

「自ら卑しめておきながら、なぜそんな身を任せたような顔をしている？」喻少裴は黙ったまま、しゃがみ込んで林让の顎を掴み、強引に顔を上げさせた。

林让の唇の端は確かに傷ついており、皮が破れて赤く腫れていた。喻少裴は彼の体にも目を向けた。薄く細長い痕跡がいくつか見える。先ほど何をされたか想像に難くない。喻少裴は冷笑して林让の手を掴み、強引に立たせた。林让は驚き、鈴の音が鳴る。彼は強いられるままに喻少裴についてエレベーターに入った。

かつては大切に思っていたのかもしれない。喻少裴はエレベーター内の監視カメラを一瞥すると、やはり見るに忍びなかったのか、上着を林让の身体にかけた。

しかし林让は思いが...