危険な喜び

108話

林は力なく顧楷の胸に寄りかかっていた。顧楷の言葉を聞いた彼は、無表情のまま手を上げて顧楷の服を開こうとした。口を開けて顧楷の肌を思い切り噛み破ろうとしたが、その力はまるでくすぐるかのように弱く、本来は憎しみの行動のはずが甘えるような仕草になっていた。顧楷はしばし、林がからかっているのではないかと感じ、興奮して林の額に軽くキスをした。

「お前の古い知り合いの声を聞かせてやろう」顧楷は嬉しそうに林を抱きしめながら二歩ほど前に進み、地面に這いつくばっている生死も定かでない男を力いっぱい蹴った。男の口に詰められていた布が取り除かれ、痛みの叫び声が漏れ出した。

その声を聞いて林は既視感を覚えた。向易...