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530話

「林夏、大丈夫か?」彼女の体調が悪いのかと心配になって尋ねた。

彼女の顔はさらに赤くなり、何か恥ずかしいことを思い出したようで、慌てて首を振った。「な、なんでもないわ」

「へぇ」と私は不思議そうに声を出した。部屋の中は埃こそあるものの、物はすべて残っていた。昔の服も、テーブルに置かれた写真も。林夏はそちらに歩み寄り、写真を見ながら言った。「こういう写真、私のは全部なくなっちゃったのに。まさか、あなたがまだ持ってるなんて」

「ははは」と私は笑って、「あまり帰ってこないからね。誰も触らなければ、どこにも行かないさ」と答えた。彼女は写真をめくっていたが、突然一枚の写真に目を留め、しばらく見つめ...