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347話

空気は異常に静かで、全員が私たちを見つめていた。表情はそれぞれ異なり、駒はすぐに元の位置に戻された。お爺さんは私に微笑みかけた。慈愛に満ちた表情だが、威厳のある雰囲気を漂わせていた。

「若い者から先にどうぞ」と彼は私に言った。

私も遠慮せず、飛車を繰り出した。これは定石だ。しかし、いつもの戦法で進めたはずなのに、十手も進まないうちに詰み筋に陥っていることに気づいた。どう動いても詰みで、どの一手を指しても死ぬばかり。どうしてこうなったのか不思議でならなかった。

このお爺さん、なかなかの腕前だな。少し見直した。

「ハハハ、将棋は人の心の状態を映す鏡じゃ。お前さんは焦りすぎておる。心を静める...