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312話

王龙が私をどこへ連れて行くのか分からなかった。実は食事に連れて行ってほしかったのだ。くそ、今日捕まってから今まで、水一滴も飲んでいないし、とっくにお腹がペコペコだった。

だが初対面だし、頼み辛くて、ただ気前よく彼についていくふりをするしかなかった。

車に乗ると、彼は誰かに電話をかけた。「天宇か、今夜何か予定あるか?」

相手が何か言ったようで、彼はすぐに笑いながら「わかった、じゃあ待っていろ」と言った。

人気のない道を走ること二十分後、遠くに山が見えてきた。我慢できずに尋ねた。「ここで何するんですか?誰も一人もいませんよ」

「誰もいないって?すぐに分かるさ」そう言うと彼はアクセルを踏み...