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920話

宗教では、尸毒(死体毒)についての説明があります。生きている人間が特定の環境下で体内に特定の物質を生成するように—例えば性欲のホルモンや、恐怖や興奮時のアドレナリンなど—これらの分泌物は生物がより環境に適応するためのものです。死者もまた同様の反射機構を持っており、死者がこの反射機構で分泌するものが尸毒なのです。一般的に、尸毒は死体の腐敗を加速し、自然との融合プロセスを促進するものと考えられています。聞いてみれば、これも死者の環境適応のようなものですね。

ダーウィンの適者生存説は、やはり道理があるようです。死者さえもその恩恵を受けるのですから。

尸毒にほかの用途があるかどうかは、現在のところ...