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816話

しかし、楊羽には聞こえなくなっていた。

楊羽は階上の二妹の部屋を見上げた。灯りはもう消えていた。本当なら二妹が自分を引き留めるかと思ったが、そうではなかった。楊羽は頭を振り、二妹に対する邪な考えを完全に打ち消した。次回はもう春薬を飲ませることもないだろう。

楊羽は韓静の方向へ歩き出した。外の街灯は明るかったが、通りはがらんとしており、人影はなかった。市街地に比べて、この県城はやはり寂しく、特に郊外はなおさらだった。

李雅熙はすっかり我を忘れ、従兄が自分の上に覆いかぶさる妄想に耽っていた。

「お兄ちゃん、欲しい…」李雅熙はひとりごちた。

韓静は彼氏の予想外の来訪に歓喜し、キスをしたりじゃれ...