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809話

「ふん、そういうことなら、私はあなたに感謝すべきだというわけか?」蘇剣は筆を置いた。

そのとき、蘇雁がお茶を持って入ってきた。楊羽がいなければ、蘇副局長の家でお茶を一杯飲むなど容易なことではなかっただろう。

「もともと蘇局長のお役に立ちに来たんですが」楊羽は安堵していた。事態は順調に進んでおり、あと一歩というところだった。

だが蘇局長にとって、この楊羽など信用するはずもなかった。いや、この政府内では市委書記以外、すでに全員が市長の人間となっている。誰を信用しろというのか?誰もが市長の手先で、いつか背後から自分を刺す可能性があるのだ。

「だが、何だ?」蘇剣が尋ねた。

「市委書記に会いたいんです」...