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1141話

冥紙の匂いが漂ってくる。廊下では誰かが冥紙を焼いており、その灰が空中に舞っていた。

楊羽は思わず身震いした。「こんなに外観が華やかなビルなのに、中はこんな状態なのか?」と心の中で思った。彼はこれ以上うろつかず、16階の非常口で待つことにした。陳佳妮はきっとここを通るはずだ。

しかし、長い時間待っても彼女は現れなかった。

楊羽が時計を見ると、すでに20分が経過していた。16階どころか、160階だって上り切れる時間だ。彼は不安になり、非常口のガラス越しに階段を覗いてみた。中は真っ暗で、「何か起きたんじゃないか」と思った。

そこで楊羽はドアを開け、階段に入った。辺りは漆黒の闇。携帯の微かな光...