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1124話

背筋を伝う冷や汗。陳乏馨と舌を絡ませていなければ、楊羽はとっくに叫び声を上げていただろう。

その汚らわしいものが楊羽に向かって歩いてくる。髪を振り乱した女だ。斜めからの光で片目しか見えないが、もう片方の眼球は砕け、外に垂れ下がっている。血痕の残る青白い顔は恐ろしく、吐き気を必死に抑えた。

その汚れは辺りを嗅ぎ回り、陽の気を感じ取れなかったのか、楊羽の体と肩がすれ違うように通り過ぎ、前方へと生ける屍のように歩み去った。

「キスはもういい?」陳乏馨は楊羽を突き放した。彼の大きな舌に窒息しそうになっていた。

楊羽は陳乏馨を見ず、ずっとあの汚れが見えなくなるまで見つめ、やっと長い息を吐いた。

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