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73話

季処長のオフィスの大きなクローゼットを開けて、中を上下左右とよく見回した。

上の段には衣服がかかっていたが、肌色のブラジャーも目に入り、少し気まずさを感じた。

クローゼットからは大人の女性の香りがはっきりと鼻をつき、少しぼんやりとした気分になった。無意識のうちに、その肌色のブラジャーを手に取って見てみると、くそ、サイズがでかい。Dカップはあるだろう、俺の顔全体を覆えそうなほどだ。

ブラジャーを元に戻し、下の段を覗いてみると、そこには着古した制服が数着積み重なっていたが、他に雑多なものは何もなかった。

どうやら季処長は郵便袋をここには置いていないようだ。

クローゼットの扉を閉めると、金...