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605話

李監区長が後ろから追いかけてきた。顔には穏やかな笑みを浮かべたままだ。

彼女が私に追いつきそうになった時、私はピタリと足を止めて振り返った。

「李監区長、そんなに急いで、私を探していたんですか?」

彼女が口を開く前に、私は率直に先手を打って尋ねた。

彼女の顔には相変わらず平静な笑みが浮かんでいた。あの日、私が三監区の作業場を訪ねた時と同じように。

認めざるを得ない。彼女のこの笑顔は、温和で付き合いやすい人だという印象を与える。

だが今回の注文を断られた一件で、私はもう見抜いた。彼女は徹頭徹尾の利己主義者であり、しかも利益のためなら何でもする本物の小人なのだ。

私の問...