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595話

部屋から聞こえてきた声に、私は少し首を傾げた。まだ勤務時間なのに、黎隊長がどうしてあんな我慢できないような苦しげな声を出しているのだろう?

もしかして、この数日会っていない間に、彼女は怪我でもしたのだろうか?

そう思うと、私は眉をわずかに寄せ、手を上げて扉を軽く二度ノックした。

「誰?ちょ、ちょっと待って」

部屋からすぐに返事があったが、明らかに慌てた様子が声に表れていた。

同時に、中から物を片付けるような雑然とした音が聞こえてきた。まるで何かを慌てて整理しているようだ。

くそ、あの慌ただしく片付ける音を聞いていると、怪我というよりは、誰かに見られたくない何かをしていたようにも思え...