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593話

「林社長、冷静にしてください。刑務所に勝手に入るのは危険だと分かっています。ここで何か起こったら大変です」

倉庫管理者は顔を不安にしかめ、私の身を案じているようだった。

私は彼に微笑みかけ、横に停まっているトラックに視線を向けた。

ちょうどその時、当直室から職員が出てきて検査を始めていた。彼女たちはトラックの運転手全員を降ろし、探知機を手に彼らの身体をスキャンしていた。

もう二人の比較的若い女性職員はトラックに登り、布地の検査を行っていた。禁制品が刑務所内に持ち込まれるのを防ぐためだ。

私は目の前に立ちはだかる倉庫管理者を気にせず、検査している女性警官のほうへ歩み寄った。

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