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590話

三監区車間で偶然に陶文霞と出会うとは、私がここに来る前には思いもよらなかったことだった。

車間の壁際に身を寄せながら、しゃがみ込んでいる彼女の後ろ姿を無意識に眺めていると、どこか違和感を覚えた。

頭を少し出して、もう一度そっと彼女を見つめると、やっとその理由が分かった。

なんと、陶文霞はそこでタバコを吸っていたのだ。

彼女の指の間には細長い女性用タバコが挟まれていた。

しかも陶文霞の喫煙する仕草は非常に慣れたもので、明らかに初心者ではなく、ベテランの喫煙者だということが一目で分かった。

この角度から見る彼女の横顔には、どこか投げやりな、世間を舐めたような疲れた表情が浮かんでいた。

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