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546話

簡単に洗面を済ませ、冷たい布団に潜り込んだ。その時になって初めて気づいたが、布団がやや湿っていた。

人の気配、人の温もり。自分の巣があるというのは、そこにより多くの時間を費やしてこそ温かみが生まれるものだ。この言葉は本当に正しいな。

だが、一人で外で頑張ってきた者にとって、乗り越えられない困難などない。

心の中で自分を鼓舞しながら、布団の中で体を丸め、まだ若いんだと自分に言い聞かせた。少なくともまだ体に火は通っている。この程度の寒さなら何とかなるはずだ。

布団の中で何度か寝返りを打った。ここ数日間外で走り回っていたせいで、確かに疲れが溜まっていた。いつの間にか、うとうとと眠りに落ちてい...