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456話

「あのとき、ボクはまだ子供だった。」おじいさんの目が輝き、少し得意げに昔の話を始めた。

隣にいる奥さんを指さしながら、にこやかに言った。「当時、彼女は地主の娘さんでな。ワシはただの小作人の家の野良息子だった。あの頃はまだ私塾に通うのが流行っていてな、覚えているが、ある時、彼女の家の前を通りかかって、塀の外に高い槐の木があるのを見たんだ。なぜだか分からんが、その木に登ってしまってな。槐の実を一握り摘んでいたら、偶然、彼女の姿が目に入ったんだよ」

おじいさんの顔に浮かぶ晴れやかな笑みを見て、私は少し好奇心をそそられた。

人の家の木に登って小娘を見かけただけで?それだけのことで、この壮大な縁が...