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43話

鐘紫荷が示した警戒心は、彼女にとって当然の反応だった。

いつも儚げな彼女は、女子刑務所でどれほどの虐めを受けてきたのだろう。たとえ以前は野心や欲望があったとしても、何度も繰り返された圧迫や虐待によって、今ではほとんど消え失せてしまっているに違いない。

私は彼女に手を振り、穏やかに微笑んで言った。「怖がらなくていいよ。僕は君を虐めたりしないし、何も要求したりもしない。僕がそういう人間じゃないって、分かるでしょう」

鐘紫荷は唇を引き結び、すぐにこぼれそうな笑みを隠そうとしているようだった。

「あなたが悪い人じゃないことは知っています。私を助けてくれて、感謝しています」

彼女の声はやはり柔...