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406話

状況は差し迫っていて、考える時間は一秒もなかった。

もしあのチンピラが成功していたら、江枫の人生はここで終わっていただろう。

チンピラの刃が江枫の腰に刺さっていたら、腎臓を傷つける可能性が極めて高かった。

腎臓が損傷すれば、生殖能力を失う恐れがある。そうなれば、彼が肖云を好きだろうが、肖云が彼に心底惚れ込んでいようが、二人の関係に未来はない。

親友が傷つくのを見過ごすわけにはいかない。彼の一生の幸せがここで終わるのも見たくない。

だが、江枫までは二、三歩の距離がある。助けに飛びつくには間に合わないだろう。

一瞬のことだった。目の端に割れたビール瓶が見えた。手に取るなり、そのチンピラ...