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373話

「金苗」私は助手席に座っている金苗に目をやり、車内の静寂を破るように声をかけた。

「うん」彼女は短く返事をして、顔を私の方に向けた。

私は淡々と微笑み、言った。「今は気分がマシになった?」

金苗は口元を緩め、耳元の髪をさらりとかきあげながら答えた。「今はもう大丈夫よ。ただ、あなたたちの喧嘩があまりにも激しかったから」

私は心の中でこっそり笑った。

これでも激しいと思ってるのか。もし彼女にあの日の烏鞘の連中との戦いを見せたら、血しぶきが飛び散る修羅場だったことを知ったら、まだ私を先輩と認めてくれるだろうか。それも疑わしいところだ。

「人ってのはね、ずっと我慢してちゃダメなんだよ」私は...