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358話

蔡隊長が奥の部屋から出てきて、私に手を軽く振りながら、そのまま執務机の後ろに座った。

「どうして入り口に立ってるの?私に食べられるとでも思ってるの?」

彼女は冗談めかした口調で私を見ながら言った。私は口元を緩めて笑い返した。

相手がこうも気さくに接してくれるのだから、私もずっと硬い表情をしているわけにはいかない。

「蔡隊長、冗談を。私を呼んだのは何かあったんですか?」

「ドアを閉めてこっちに来なさいよ。そんなに離れてて、私と話すのが適切だと思う?」

くそ、要求が高いな。

心の中で毒づきながら、私は手を返してドアを閉め、執務机の前まで歩み寄った。

「ええと、呼んだのは実は大したことじゃないのよ」...