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288話

私は刑務所の門の内側に立ち、怒りと悔しさが入り混じる中、どうにか鐘紫荷のために何かできないかと決断できずにいた。

鐘紫荷はぼうっと立ち尽くし、彼女の腕を掴む女性の手から逃れようともがいていた。

何度か振りほどこうとしたが、あまりにも痩せた体では、その手から逃れる力など全くなかった。

彼女は冷ややかに女性を見つめ、言った。「お金を受け取ったのはあなたで、使ったのもあなた。誰のためだったにしても、私には関係ないわ」

老けた女性は冷たく笑い、悪意を込めて言った。「そうは言っても選択肢はないのよ。嫁がないと大勇にあれだけのお金を返せるわけないでしょう?あなたの弟のために私は心砕いてきたのよ。姉と...