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27話

まさか、目の前でその女囚頭が手を出すとは思いもしなかった。

こりゃいけない、俺が存在しないとでも思ってるのか?

あの娘にはすでに同情の気持ちが湧いていたんだ。他人にいじめられるのを見過ごすわけにはいかない。

あの悲鳴を上げたのは女囚頭だった。彼女が手を上げて娘の顔を叩こうとした瞬間、俺は素早く彼女の手首を掴んでいた。

俺だって学院の優等生だ。優等生の基準は学業だけじゃなく、格闘術や体力トレーニングもバッチリこなさなきゃならない。

自慢じゃないが、俺の体力、格闘技なんかは常に文句なしだ。

学院で夏薇を追いかけ始めた頃、俺よりも頭ひとつ分高い男が夏薇に絡んできたことがある。...