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204話

この時、まだ外にいた女囚たちの間で噂が広がっていた。図書室に入れば、「あんな」小説が見られるのだと。

ただ「あんな」という言葉だけで、まだ図書室に入れていない女囚たちの心を掻き立て、活気づかせていた。

「衛大隊長、私たちも入りたいです。前の人たちはもう十数分も中にいるじゃないですか」

「そうよ、一体何を見てるのかしら?」

「私たちも見たいわ」

前から一人が声を上げると、すぐに何人かが続いて同調した。

その声に現実に引き戻された私たちに、衛大隊長はまず表情を引き締め、声を張り上げて女囚たちに向かって叫んだ。

「うるさい!お前らの番になったら、ちゃんと順番が回ってくる。...