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176話

「小蘇、応答してくれ」

突然発せられた声にハッとした蘇科長の顔が一瞬強張った。

彼女は急いで無線機を手に取り、口元に寄せた。「はい、了解しました。楚監督、ご指示をどうぞ」

蘇科長の真剣な表情を見て、私は内心で笑みを浮かべた。

どうやら彼女は視察団の検査対応にかなり緊張しているようだ。

はぁ、女というのはやはり女だな、大した責任は担えないものだ。

「小蘇、視察団の何処長がもう到着したから、すぐに出てきて出迎えてくれ」

楚監督の声は澄んでいて柔らかく、聞いただけで落ち着きと風格を感じさせた。

「はい、すぐに参ります」蘇科長は顔を引き締めて返事し、そのまま足早に庁舎の外へ向かった。

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