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166話

「泥棒に帳簿を盗まれたなんて、誰も信じないだろう」

誰も信じないだろうが、私自身も信じていない。

しかし、これはあまりにも信じがたい。人の背丈ほどもある大きな書類棚、すべてのファイルの中に、余分な紙一枚さえ残っていないなんて。

途方に暮れ、苦笑いを浮かべる私の表情を見て、竇寧はにっこりと微笑んだ。

「どうしたの、林隊長?目の前にあるものを信じられないの?くすくす」

可愛らしく笑う竇寧を前に、私はどうすることもできなかった。

女子刑務所の教育管理科の帳簿がこんな状態になっているのは、明らかに竇寧の責任ではない。彼女に腹を立てたところで、そんな権利が私にあるわけがない。

周りの書類棚...