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107話

隙間から人を見るのは、相手を平面的に見てしまうという諺がある。

だが私が隙間から見たのは、蘇科長の限りない魅力だった。

彼女はデスクに伏せて、腕を曲げてその上に頭を横たえていた。一束の黒髪が横に流れ、その美しい顔の半分が露わになっている。

彼女が甘く眠る姿を見て、私の胸は高鳴りを覚えた。

昨夜、私に掛け物をしてくれたのは彼女だと思うと、心の中で感謝の念が湧き上がり、下心で彼女を冒すつもりはなかった。

だが、ドアを閉めて立ち去ろうとした時、蘇科長の服と共に、彼女の髪がふわりと揺れるのが見えた。

その時初めて気づいたのだ。彼女の後ろには扇風機があり、ゆっくりと首を振りながら風を送ってい...