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829話

振り返って、美女の前まで歩き寄ると、優しい声で尋ねた。「お嬢さん、大丈夫ですか？」

この質問は計算づくだ。問題があろうがなかろうが、とにかく話しかければ応えるだろう。そして会話が始まれば、当然感謝されるはずだ。

「はい、ありがとう、お兄さん」

美女は少し俯き、私の顔を直視できないようだった。

こんなに恥ずかしがり屋なのか？それとも俺がカッコよすぎて見られないのか？

いや違うな。美女をよく見ると、すぐに理由が分かった。彼女の襟元はあのチンピラどもに引き裂かれ、今や大きく胸元が露わになっていた。思わず息を飲む。くそっ、たまらない！

私の狼のような視線に気づいた美女は、慌てて二歩後ずさり、恐怖の表情...