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805話

「あら?なんでここにいるの?」

耳元で聞き覚えのある声が響いた。

振り向くと、さっきバーで出会ったあの美女ではないか。

「縁があるんですね、どこでも会えるなんて」

美女はただ軽く微笑むと、不思議そうに尋ねてきた。「あなたもここの会員なの?今まで見かけたことないけど」

「会員?何の会員?」

私の困惑した表情を見て、美女の疑問はさらに深まった。「会員じゃないの?じゃあどうやって入ってきたの?」

「塀を乗り越えてきたんです」考えた末、目の前の美女なら害するようなタイプではないだろうと思い、塀を登ってきた事実をそのまま話した。

「塀を?」美女は私を上から下まで何度も眺め、私の答えを信じていない様子だっ...