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732話

「なかなかやるじゃない、こいつ。あんたの手の内でこれだけ持ちこたえるなんて」

ベランも思わず阿雄と呼ばれる男を褒めずにはいられなかった。

「最近、かなり強い奴らに出会うことが多いんだ。羅智もその一人だよ」

ふと羅智のことを思い出し、私は口にした。

「羅智が強いって?昔の彼を見る限り、そうは見えなかったけど!」

「今夜、彼を助けに行ってたんだ。さっきはその話をするの忘れてた」と私は言った。

「兄貴、お姉さま方がお二人とも来られました」

威の手下が声を上げた。

「二人とも来たのか」

威は思わず興奮した様子だった。

「お前ら、今夜はお前とそのねーちゃんにとって良い夜にはならないぜ。俺たちをなめてると...