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725話

外では、小花は観客という役を完璧に演じきっていた。彼女は浴室の木の扉を開けた瞬間から私が慌てて風呂を終えるまで、一度も瞬きひとつしなかったのだ。

私が入浴を終えたのを確認してから、ようやく彼女は名残惜しそうに一瞥した後、足を動かした。

この時、彼女の足の付け根は湿っていた。これは先ほど浴槽の水で濡れたのではなく、彼女の体の内側から外へと滲み出たものだった。その湿りとともに、小花の心の奥底にはこれまで一度も感じたことのない感覚が生まれていた。その感覚はあまりにも特殊で、どんな言葉で表現すればいいのか分からないほどだった。

「おい、エッチな女、何をそんなに夢中で考えてるんだ?」

浴室から出てきた私...