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685話

今度は林江尚の父親が慌てふためいた様子になり、さっきまで息子に「何事も冷静に対処すべし」と説教していた小柄な老人とは思えない。

「お父さん、何事も冷静に対処するんでしょう?」

林江尚はわざと父親に教わったことを逆に父親に言い聞かせた。

「ぶん殴るぞ、今冷静でいられるか、来たのは郝老だぞ!」

林江尚の父親は林江尚の頭を軽く叩いた。

「ば、ばあさん、早く十年間隠しておいた茅台酒を持ってきてくれ」林江尚の父親は大声で叫んだ。

「そんな大袈裟な必要はないでしょう。そんなに緊張せずに、気楽にいきましょうよ」

老道はその時、奥の部屋に足を踏み入れながら微笑んで言った。

招待状が届いたあの夜...