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655話

私とベランは目を合わせると、二人揃って素早く小屋へと駆け込んだ。

小屋の窓の外から、中の薄暗い灯りを頼りに覗き込むと、全身を縛られた少女が見えた。髪を乱した彼女の顔には涙がとめどなく流れ落ちていた。

少女の傍らには極めて卑猥な笑みを浮かべた男が三人立っており、時折下品な笑い声を上げていた。

私は小屋の中をじっくりと観察した。以前、麻縄を取りに来た時には細かく見ていなかった。

覚えているのは、中の物が少なく、ベッドの脇に薪割り用の鉈が置いてあったことだけだ。この小屋は入り口からしか入れないが、幸い扉が付いていないので、中から鍵をかけられる心配はない。

その時、中にいた刀傷の跡...