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654話

情熱的なメロディーが静寂の谷に響き渡り、燃え尽きた薪が灰と化すまで、疲労困憊した二人の戦いがようやく終息を告げた。

私は三度ベランを仙境へと導き、今、彼女は甘い微笑みを浮かべて深い眠りについている。

翌日、太陽が再び深い谷に光を投げかける頃には、二人はすでに出発の準備を整えていた。谷を囲む岩壁を観察すると、表面は苔で覆われているものの、岩と岩の間には人一人が通れるほどの隙間があることに気づいた。

さらに興奮したのは、上へと伸びるツタが岩壁にしっかりと絡みついており、力いっぱい引っ張っても動かないことだった。これは私たちにとって、まさに安全策が一つ増えたようなものだ。

一刻の猶予...