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547話

「どうして彼女に真実を話せるだろう。言っても彼女には理解できないし」彼女はそれ以上詮索せず、ただ私を抱きしめ、背中を優しく撫でてくれた。温かい手と体は確かに私に慰めを与えてくれた。

腕の中の彼女を見つめながら、その身体を抱きしめていると、ふと思った。誰がより快感を得ているかなど重要ではないし、誰が主導権を握っているかを追求する必要もない。愛と肉体の交わりは互いが望むからこそ行うもので、そもそも真の勝者など存在するのだろうか。

互いに愛し合っているのに損得を細かく計算するなら、人は絶頂を天国に例えたりしないだろう。

このことについて少し理解できた気がする。実はこういった行為に没頭することは...