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280話

「この後一分ほどの間、ベランは私をぎゅっと抱きしめたまま、数秒ごとに身体を震わせていた。空気に晒された彼女の肌は薄紅色に染まり、小さな唇が微かに開いて、大きく息を繰り返していた。

しばらくして、ベランの呼吸がようやく落ち着き始め、感情も同様に静まっていった。二人はそのまま抱き合ったまま動かず、誰も言葉を発しなかった。

私は口でベランの耳たぶに軽くキスをし、時々舌で優しく噛んだりもした。そのたびに、ベランの体が微かに震えた。

どれくらい時間が経ったのだろう、ベランはようやく痛みを堪えながら足を私の腰から下ろし、両腕も私の体から離した。彼女は頬を赤らめたまま、目を開けようとせずに言った。「宏...