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271話

ベランは私を見逃さなかった。彼女は紅い唇を私の耳元に寄せ、白い歯で軽く私の耳たぶを噛んだ。「宏お兄ちゃん、あなたったら大悪党ね。この前のホテルの個室で、私をベッドから起き上がれないほど激しく責めたじゃない」

ベランにそんなふうに挑発され、私は思わず彼女の紅い唇を強く奪い、しばらく口づけしてから、にやりと笑った。「お前という小悪魔があまりにも魅惑的だからだろう」

ベランは怒ったように私を見つめた。「もう、大悪党!明らかにあなたが先に誘惑してきたくせに」

もし彼女が無傷なら、今すぐ彼女を食べてしまいたい衝動に駆られていただろう。だが今はあまり適切ではない。やはり彼女はまだ怪我をしているのだか...