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270話

「今、僕の頭の中は彼女の体調のことばかりで、足の痛みのせいなのか、全然彼女の表情の違和感に気づかなかった。

「蘭、どこか具合悪いの?ちゃんと言ってよ!」僕は焦った。明らかに彼女の様子がおかしいのに、医者でもない僕にはどこがおかしいのか分からない。貝蘭児が言わないから、焦るのも当然だ。

貝蘭児は今や僕の女だ。どんなことがあっても、彼女を外に出すわけにはいかない。

「うぅ、宏お兄ちゃん、私、私...おしっこしたい」

ようやく、長い間もじもじしていた貝蘭児がやっとそう言い出した。

僕は一瞬固まったが、すぐに我に返った。少しも動揺を見せずに「看護師さんを呼んでくるよ」と言った。

「だめ、呼...