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142話

「雅間に入ると、ふわりと漂う香りが私の鼻をくすぐった。まるで料亭の個室ではなく、女性の寝室に足を踏み入れたような錯覚を覚える。

淡いピンク色の壁には繊細な造りの棚が並び、女性らしい小物が飾られていた。床には薄紅色の絨毯が敷かれ、踏むとふんわりと沈み込む感触がする。

部屋はかなり広く、棚の両側には高級家具が一式揃えられている。テレビ台やソファ、ダイニングテーブルなど何でも揃っているが、さらに驚いたことに、奥の窓際にはダブルベッドまで置かれていた。

これはもしかして、貝蘭兒が普段休んでいる場所なのだろうか?

まさか初めて食事に来たのに、こんな個室に通されるとは思わなかった。

私は気づいた。...