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12話

百メートルほど歩くと、柳泉の家に着いた。彼は熱心に「張先生、どうぞ」と声をかけてくれた。

「ありがとう」私はうなずきながら微笑んだ。

家に入ると、柳泉の家はなかなか裕福そうで、内装も立派だった。ただ、彼以外に誰もいないようで、思わず尋ねた。「ご両親は?」

「ここは私と妻の家なんです。両親は都会に住むのを嫌がって」柳泉は丁寧に答えた。「田舎の生活に慣れているからだと言うんです」

「そうだね、年齢を重ねると、慣れた交友関係を大事にしたくなるものだ」私はうなずいた。

柳泉は私に二、三声をかけると、古箏を取りに行った。

私は気もそぞろに部屋を見回した。家はかなり広く、整然と片付いていた。見たところ、柳...