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677話

私の師匠は趙国邦といって、六十歳を超えた方です。町で診療所を開いてもう二十年以上になり、この辺り一帯では有名な存在です。

師匠が最も得意とするのはマッサージと鍼灸で、その腕前は確かなものです。

マッサージは私も習得しましたが、鍼灸はまだ学んでいません。鍼灸はツボを見極める精度がマッサージよりもさらに重要で、少しでも針を刺す位置を間違えれば大変なことになりかねないからです。そのため、師匠は私に教えてくれませんでした。

ですが、今なら学べるようになりました。ただし、こっそりと学ぶしかありません。

「技は多く持っていても損はない」というのは師匠の教えです。

師匠の診療所はいつも忙しいので、私は二日...